RFID(無線ICチップ)を用いた検体管理

RFIDは、Radio Frequency IDentifierの頭文字を取ったもので、情報を保持したタグ(ICチップ)から、電磁界や電波による近距離の無線通信を用いて情報をやりとりする技術の総称です。近年では、アパレル・物流業界を主に普及が進んでおり、次世代の自動認識分野を支えるコアテクノロジーになりつつあります。

RFIDとは

RFIDタグとのデータ通信には、RFIDリーダーが必要です。RFIDリーダー内から内蔵アンテナを介し、電磁波・電波を用いてRFIDタグのアンテナから電源を供給、双方向(単方向)のデータ通信を行います。RFIDの技術詳細や規格などについては、こちらの記事で解説していますので、併せてご参照ください。

メリット

いままで検体の識別は、見通し状態でバーコード読取するしかありませんでした。RFIDを使えば、検体がケースや箱に入った隠ぺい状態であっても、電波・磁界を用いて非接触で、複数の検体を一括で識別することができます。
検体の識別を極めて短時間で行えるため、温度感受性の高い細胞や血液、組織といった生体サンプルへの常温への暴露リスクを最小限に留めることができ、一連処理のスループット向上にも繋がります。

RFIDタグ包埋ラベル

弊社では数年にわたり、市場からもっとも最適なRFIDタグをスクリーニングしたうえで、実際に-液体窒素液相温度(196℃)にて3年以上に渡りサンプルを保管し、定期的にサンプルを取出し全数試験を繰り返してきました。結果、高い耐久性と読取性能を保証できるRFIDタグ包埋ラベルと、一括で100本のサンプルを自動認識できる一括RFIDリーダーの開発に成功し、現在実採用・運用が進んでいます。

RFIDタグのデータ完全性問題については、ラベルに二次元バーコードを印字することで、データの冗長性を確保しています。万が一RFIDタグ内のデータが欠損あるいは故障した場合でも、従来のバーコード識別にてデータの保全を図ることができます。

超低温環境保管サンプルの一括識別

細胞や血液などの生体サンプルは、-80~-196℃の超低温環境で保管されるのが一般的です。その際のボトムネックは、入出庫の際の照会作業にかかる時間です。サンプルが常温に暴露されることによる品質低下リスクを最小限にするには、この照会時間を可能な限り短くする必要があります。
弊社では、液体窒素容器やフリーザーに使用される135×135mmサイズのフリーズボックスに特化した専用のRFIDリーダーを開発し、わずが数秒で全数(81~100本)のサンプル識別を実現しました。

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