2Dチューブを用いたバイオバンク運用モデル

研究・臨床現場で収集された生体試料は、様々な研究・臨床モデルの研究のための貴重な財産として管理・利活用されています。我々の検体管理ソフトウェア「SampleConductor Pro」では、小スケールから大スケールまで、検体を取り扱う現場のニーズにマッチした多種多様な機能を用いて、バイオバンキングを支援しています。

システム概要

  • SampleConductor Proソフトウェア(SCP)の基本機能を用いてバイオバンク運営を行うことができます。
  • 二次元バーコード付チューブとラックスキャナーを用いた一括スキャンにより、高速かつ確実なトレーサビリティを確保できます。
  • サンプルの受領、移管、分譲、バイオバンク内の様々な処理プロセスをステータス化して管理することができます。
  • 電子カルテやLIMS、外部システムからのデータ連携を行うことで、個人情報の匿名化やシステム機能の分散化を図ることができます(オプション)。
  • 液体窒素容器や超低温フリーザーだけでなく、自動分注装置、自動化倉庫とWebAPI経由で連携し、シームレスな運用が可能です(オプション)。

運用イメージ

二次元バーコード付チューブとは

二次元バーコード付チューブ(2Dコード付チューブ、2Dチューブ)は、ストレージ用チューブなどとも呼ばれる、ラボ自動化と検体管理のために生み出されたチューブです。SBS規格と呼ばれるフォーマットのチューブラックに、高密度にチューブが積載できることが特徴です。チューブの底面には、唯一無二の二次元バーコードが刻印されており、サンプルの個体識別に貢献します。

個人情報を秘匿しつつ、可能限り高密度に検体を管理できる2Dチューブは、取り違えなく高速かつ確実な識別と追跡性を確保することができるため、バイオバンクにおける推奨モデルと言えます。

処理プロセスのステータス化と管理

バイオバンクの業務はサンプル(検体)の受領に始まり、複雑な工程を経て長期保管を行い、様々な目的のために利活用・分譲される運用サイクルとなります。これらのサンプルが、現在どのような状況にあり、どれだけの数があるのか、適切に管理することが常に求められます。下図はバイオバンク運営のモデル図ですが、SCPでは、これらサンプルを「ステータス」という概念で管理し、すばやく確実に抽出・管理することができます。
数量の多いサンプルの処理には、2Dラックスキャナーで一括でスキャン処理を行い、作業者の手間を削減するだけでなく、確実性を担保します。

外部ソフトウェアとの連携

SCPでも一定の由来情報やサンプルに関連する情報・履歴を管理することができますが、持続可能性があり、費用対効果の高いシステム運営のためには、外部ソフトウェアとの連携が必要になる場合があります。提供元となる患者情報、疾病履歴などの個人情報を含む電子カルテや、検査・分析機器の情報を一元管理するLIMS(Laboratory Information Management System)、電子実験ノートとの連携は、重要な要素の一つです。
SCPにはCSVインポート・エクスポート機能のほか、他システムとシームレスにデータ連携を可能にするWebAPIををご用意しています。このAPIを経由することで、セキュアに必要な情報を相互に同期・更新することで、それぞれの得意分野をそれぞれのシステムが担当する頑強なシステム構築が可能になります。

様々な自動化機器との連携

バイオバンク業務においては、プロセスの自動化が大きな鍵を握ります。血液から各主成分を抽出・精製・分注する自動分注システムや、検体を識別するためのラベルの自動貼付システム、保管温度を維持しつつ確実に目的のサンプルの入出庫を行う自動倉庫システムなどがその例です。これらのバリューチェーンとのデータ連携は、データの一貫完全性(データインテグリティ)のために不可欠だと言えます。
SCPではWebAPIとデータエクスポート機能を利用し、これら自動化機器との連携と結果・履歴の管理が可能です。